スイスアルプス野外実習 2006年度実習報告
−−北海道大学環境科学院 地球雪氷学実習−−
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スイス野外実習 番外編


正規の実習プログラムが終わった後も、一部はスイスに残ってゴルナー氷河での調査に10日間参加しました。写真はキャンプからのGorner氷河、写真に湖があるのがわかりますか?この湖は氷河の溶け水が溜まって水位を増し、ある時、突然、数日で水を放出してしまいます。その仕組みが研究者の注目の的となっています。

キャンプは氷河の近くの崖の上。マッターホルンもすぐそこに見えます。ここから毎日氷河まで降りて、帰りは同じ道を登ります。10日間毎日登ってもなれることができない険しい道でした。

調査のメインはホットウォータードリリング。氷河の溶け水を沸かしたお湯で氷河を基盤まで溶かして穴をあけます。その穴に測器を入れて氷河の各深さでの温度、圧力、流れなどを測定します。他にもセオドライトとGPSによる位置測定、地震波の測定、氷河湖の水に色をつけて下流に流れてきた水の色を測る測定などをして、氷河流動と氷河湖の放出について調べます。

ある晩、氷河湖の底の氷(おそらく)が浮かび上がり、気がつくと氷河湖を満たしていました。

あいにく前半は天気が悪く、氷河湖の表面も凍ってしまいました。氷河の上に水が無くなったのでドリリングもストップです。研究者の何人かは電車で一時的にチューリッヒに帰りました。その日のうちに電車で帰れるのがスイスのすごい所です。

氷河では晴れると暖かく日光浴も出来ましたが、吹雪くと途端に凍えます。寒さを紛らわすため、日中に2リットルものお茶を飲むと、夜中に6回トイレにおきました。その度に体ごと凍るような思いをします。夜中の氷河では降るような星空と黒々と巨大な山に、美しさと恐怖とめまいを感じます。 晴れるとマッターホルンもくっきり。

実習の時とはうって変わって日本人は少数派、英語力不足がたたってコミュニケーションも難しいですが、氷河の研究者はみんなナイスガイでした。夕食のときは和やかであたたかい時間が過ごせます。辛く寒くとも楽しい10日間の氷河での生活が過ぎて、今また氷河に行きたいと思うのです。私たちの帰った後もここでの調査は続きます。

おまけの戦う偶蹄目。そこかしこでいつまでも戦っていました。でも人が近づくと逃げるし、決して互いを傷つけない形状の角で戦う(と思う)不思議な彼ら。
文責  西村 大輔

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